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ロボットになれたらいいのに (詩)

ロボットになれたらいいのに

そうすればイライラして娘に声を上げることもない ご飯を作るたび抱っこをせがむ息子に萎えることもない 自分のスペック内の仕事を淡々とこなし 要望にただ答え 感情的になって誰かを傷つけることもない

ロボットになれたらいいのに

そうすれば夫とのすれ違いで絶望的な寂しさを感じることも 人に見限られた時にプライドが傷つくこともない 電車で遭遇する失礼な奴も何とも思わない 仕事で失敗しても引きずらない 漠然とした空虚感で目の前がぼやけることもない 誰かに愛されたいなんてことも思わない

ロボットになれたらいいのに

そうすれば大切な人を傷つけないで 傷つけた罪悪感も感じないで 落ち込まないし 朝起きたくないとも思わない 何も感じない それがいい

ロボットになれたらいいのに

ロボットになれたらいいのに

ロボットになれたら

そしたら鉄製のギクシャクした指を娘の細い髪の毛に通して お昼寝から起きた息子の柔らかいほっぺたに冷たく硬い頬を寄せるだろう 微笑みかけた時の夫の顔も見ることはなく 夕暮れの窓際の暖かさも あの坂の上のクチナシの香りも プリンのつるんとした食感も 達成感も 安心感も 悲しみを知っているから得られる喜びも 何もかも 感じない

わたしはきっと

ロボットにはなりたくない。

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